一日目

木曜日
母親の帰りが早かったので、表に誰もいないのをベランダから確認してから、急いで外へ出る。一日中ヒーターのきいた部屋にいたので、もう気候は暖かいだろうと思い、Tシャツとトレーナーだけに替えた。久しぶりにこの格好をしてみて、ダボダボで頼りない気がした。5時でまだ日は明るく、人通りも多かった。人目をさけて歩く。土手前の信号、車にあおられて小走りになるのがイヤだったので、顔を覆いながら横断歩道をわたる。すると、青信号にもかかわらずブレーキをふまずに自動車が目の前をとおる。さすがにおかしいだろうと思い、その後につづくトラックなどをみながら、しばらく考えた。ずっと疑問だったこの青信号、教習所の学科でもそんな特例はならっていない、でもようやくわかった。信号を右折するときは、歩道を通っていい。だからここを通る車を停車しない。ずっと違法車両だとおもってたけどなぞが解けた気がした。それにしても横断歩道上に歩行者がいるときは徐行か、停車するべきだと思う。まだまだ明るい。晴れやかな空のもと土手を見渡して気持ちもはずむ。グラウンドの土や、原っぱの草木もはっきり見渡せる。この雰囲気のなかラジオをきくのは勿体ないとおもい、音楽をかけ、楽しみながら走ることにした。グラウンドではどこかの野球部が練習している。この時間帯、土手も人気がおおい、相変わらず飼い犬の手綱をつけていない飼い主など、気分を害すような状況もあるが、気にしないよう目をおおってすぐ通り抜けることにした。無風だと思ってはしっていたが、1キロ手前で強めの追い風がふいていることにきづく。折り返し後の向かい風が心配になる。2キロ手前、道路の反対側を早歩きであるく老人、ジョギングしてる身としては追い抜かなくてはいかないが、むこうも早足で歩いているので距離を離すには相当ピッチをあげなくてはいけない。変な意地で余計な体力をつかう。しかし、今日はわりと上半身が軽く、リズムにのって走れた。折り返し、道路のむこうから人がくるのはみえていたけど、みえないように道路のすみで立小便をする。済ませた後、ちょうどそのジョギングの人が進行方向に走っていくところだった、ペースが遅かったので後ろを追走すると、あとあと面倒だなとおもい、その人の前を走ることにした。ここでも距離をはなすために、必要以上に早走り、しかもとんでもない強風の向かい風で、呼吸がとれなくなるほどだった。あきらかに呼吸器に異常をきたし、心臓がバクバクいってる。ある程度はなれたところで、顔を下に向けながら走り、呼吸をととのえた。この強い向かい風のなか4キロ走ることになる。6キロ過ぎ、すでに辺りは暗くなっていた。道路脇で光る物体をいじくっている女の子っぽい姿がみえる、近づいてみるとそれはラジコンを操作するコントローラーだった。ワゴン車のような形の大きなラジコンの横を通ったが、そのラジコンはUターンし、音をたてて走る後ろをおいかけてきた。ピッチをあげて逃げきる。7キロで再び折り返し、ようやく向かい風から開放された。8キロ。なかなか気持ちのいいジョギングだった。帰り道、ダブルユーのアルバム。M2、M7、M10。M2は二人の歌手としての性質の違いが確認できたけど曲がいまひとつ。M7はこのアルバムでやる必要性がよくわからず、2人が歌っているのかすらよくわからなかい。曲はわりとまとまっている。M10はまだWらしさが感じられた。アルバムの曲をすべて聞いたことになるが、期待していたようなハモリをきかしてくれる曲は少なかった。1stのほうが好き。その後はプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲1番、今日は3楽章。1楽章同様、美メロが発見できた。帰り道、いつも通る道で葬式をやっていた。お金持ちの人らしく、道の両側を広くつかっていた。そこを通る女子中学生、顔はにやけていたけども、葬式会場にむけて手を合わせていた。自宅付近、突然ガシャンという音がなった。みると喫茶店の店先バイクがよろめいている。立看板でも倒したかなとおもったら、バイクに積んでいた宅配の荷物をおとした様子だった。喫茶店のおばちゃんがでてきて、運転手に話しかけている。荷物は落下の衝撃で変形しているし、おばちゃんには愛想でかえさなきゃいけないし、運転手大変だなとおもった。